ヨルシカの楽曲の“原作”となる本:物語のルーツをたどる読書ガイド

読書

「ヨルシカの歌詞は、まるで小説を読んでいるような世界観がある」
「楽曲の意味をもっと深く知りたい!」

そんなふうに感じたことはありませんか?

実は、ヨルシカの楽曲には文学作品や哲学書が深く関係しているものが多くあります。ボーカルのn-buna(ナブナ)さんは、自身のインタビューで「小説のような楽曲を作りたい」と語っており、実際にいくつかの楽曲は名作文学や詩集からインスピレーションを受けているのです。

今回は、ヨルシカの楽曲と関係の深い本を紹介しながら、その物語のルーツをたどっていきます。楽曲をもっと深く楽しむための「読書ガイド」として、ぜひ参考にしてください!


1. 「思想犯」 × ジョージ・オーウェル『1984』

🎵 楽曲:「思想犯」(アルバム『盗作』収録)
📖 影響を受けた本:『1984』(ジョージ・オーウェル)

「思想犯」というタイトルは、ジョージ・オーウェルのディストピア小説『1984』に登場する概念「思考犯罪(thoughtcrime)」が由来です。

『1984』は、全体主義国家が個人の自由を徹底的に監視し、**「間違った考えを持つことすら許されない」**という社会を描いた物語。この世界では、人々は常に「ビッグ・ブラザー」に見張られており、言葉や思想までもが統制されます。

ヨルシカの「思想犯」は、まさにこの小説と同じく、「自由な思考を奪われること」への抵抗をテーマにした楽曲です。

📌 歌詞の一部
「君がつまらぬ大人になってしまう前に」

これは、社会に適応することで「自由な発想を失うこと」を警戒するメッセージとも取れます。『1984』を読んでからこの曲を聴くと、歌詞の一つ一つがさらに重みを増して感じられるはずです。


2. 「夜行」 × 梶井基次郎『檸檬』

🎵 楽曲:「夜行」(アルバム『盗作』収録)
📖 影響を受けた本:『檸檬』(梶井基次郎)

「夜行」は、ノスタルジックでありながら、どこか切なさを感じる楽曲です。この曲が影響を受けたとされるのが、梶井基次郎の短編小説『檸檬』

『檸檬』は、主人公が「心をふさぐ鬱屈とした気持ち」を抱えながら、ある日八百屋で檸檬(レモン)を買い、書店の本の上に置くことで**「世界を一瞬だけ変えた気持ち」**を味わう物語です。

📌 「夜行」との共通点

  • どちらも「夜」や「過去の記憶」をテーマにしている
  • どこか空虚で、取り戻せない何かを感じさせる雰囲気
  • 「現実の違和感」と「刹那的な美しさ」が共存している

「夜行」の歌詞にも、「どこにも行けない夜」や「忘れられた景色」といったフレーズが出てきます。『檸檬』を読んだ後にこの曲を聴くと、さらにその情景が鮮やかに浮かび上がってくるでしょう。


3. 「海底、月明かり」 × アルチュール・ランボー『地獄の季節』

🎵 楽曲:「海底、月明かり」(アルバム『エルマ』収録)
📖 影響を受けた本:『地獄の季節』(アルチュール・ランボー)

「海底、月明かり」は、アルバム『エルマ』の中でも幻想的で詩的な楽曲です。この曲の歌詞には、19世紀フランスの詩人**アルチュール・ランボーの『地獄の季節』**の影響が色濃く反映されています。

『地獄の季節』は、ランボーが17歳で書いた詩集で、夢と現実、生と死、破滅と創造といったテーマを扱っています。「海底、月明かり」の幻想的で叙情的な世界観は、この詩集の持つ「幻覚的な美しさ」と通じるものがあります。

📌 共通するポイント

  • 「沈む」「崩れる」「幻想」といったイメージ
  • 現実と非現実が入り混じる詩的な表現
  • 若者の孤独や苦悩が描かれている

「海底、月明かり」を聴いたときに感じる「儚さ」や「美しい崩壊感」は、『地獄の季節』を読んだ後だとより鮮明に伝わってきます。


4. 「春泥棒」 × 宮沢賢治『春と修羅』

🎵 楽曲:「春泥棒」(アルバム『盗作』収録)
📖 影響を受けた本:『春と修羅』(宮沢賢治)

「春泥棒」は、「桜が舞う景色」と「失われた存在への想い」を描いた楽曲です。この詩的な世界観のルーツとして挙げられるのが、宮沢賢治の詩集**『春と修羅』**。

『春と修羅』は、自然や宇宙、生命の神秘を詩的に綴った作品で、「春」という季節に込められた生命の息吹と別れの切なさが特徴です。

📌 「春泥棒」とのつながり

  • 「春」の美しさと儚さがテーマ
  • 生命と死の対比(桜が咲く=何かが終わる)
  • 「誰かを想う気持ち」が詩的に表現されている

『春と修羅』を読んだ後に「春泥棒」を聴くと、歌詞に込められた「春の儚さ」と「思い出の切なさ」が、より深く心に響くはずです。


まとめ:ヨルシカの楽曲をもっと楽しむための読書リスト

ヨルシカ楽曲 × 影響を受けた本

  • 「思想犯」 → 『1984』(ジョージ・オーウェル)
  • 「夜行」 → 『檸檬』(梶井基次郎)
  • 「海底、月明かり」 → 『地獄の季節』(アルチュール・ランボー)
  • 「春泥棒」 → 『春と修羅』(宮沢賢治)

好きな音楽のルーツをたどることで、新しい本と出会うきっかけになります。ぜひ、ヨルシカの楽曲とともに、これらの本を読んでみてください!

※楽曲の原作に関しては、諸説があります。

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