小説同士が“リンク”している?— 物語のつながりを楽しむ読書の魅力

読書

本を読んでいると、「あれ、この設定、どこかで見たことがある…?」と感じることはありませんか?

実は、小説同士が意図的にリンクしていることは珍しくありません。ある作品が過去の名作に影響を受けていたり、複数の作家が同じ世界線で物語を描いていたりすることがあります。こうした「小説同士のつながり」を知ることで、物語の背景がより深く理解できたり、新しい発見があったりして、読書がさらに楽しくなるのです。

今回は、そんな“リンクする小説”をいくつか紹介します!


1. 『1Q84』(村上春樹) × 『1984』(ジョージ・オーウェル)

📖 リンクのポイント:ディストピアの世界観と「見えざる監視」

村上春樹の『1Q84』は、タイトルからしてジョージ・オーウェルの『1984』を意識していることがわかります。『1984』は、全体主義国家による監視社会を描いたディストピア小説で、「ビッグ・ブラザー」という存在が国民を管理しています。

一方、『1Q84』の世界では、現実とは異なる「もう一つの世界」が広がっており、そこでは「リトル・ピープル」という謎の存在が暗躍しています。この「リトル・ピープル」には、オーウェルの「ビッグ・ブラザー」と似たような、目に見えない支配のメタファーが込められていると言われています。

📌共通点

  • 「見えざる支配者」の存在(『1984』=ビッグ・ブラザー、『1Q84』=リトル・ピープル)
  • 「1984年」という時代設定(『1984』はその年を舞台にし、『1Q84』も1984年が関わる)
  • 現実と違う「もう一つの世界」が描かれる

『1Q84』を読む際に『1984』を先に読むと、より深く村上春樹の意図が理解できるかもしれません。


2. 「螺旋プロジェクト」— 伊坂幸太郎 × 朝井リョウ × 斉藤壮馬

📖 リンクのポイント:異なる作家が「同じ世界」を描く

「螺旋プロジェクト」とは、伊坂幸太郎、朝井リョウ、声優の斉藤壮馬が、それぞれの作品を“同じ世界線”で書いたプロジェクトです。

🎭 関連する作品

  • 『シーソーモンスター』(伊坂幸太郎)
  • 『死にがいを求めて生きているの』(朝井リョウ)

これらの作品では、登場人物や出来事が微妙にリンクしているのが特徴です。たとえば、『シーソーモンスター』と『死にがいを求めて生きているの』では、同じ組織(ある秘密結社)が登場し、異なる視点から物語が展開されます。

📌 共通点

  • 登場する組織や設定が共通
  • 異なる作家が同じ世界を描く
  • 作品ごとに視点や切り口が異なるため、全部読むとより深く理解できる

同じ世界線を違う作家が描くことで、読者は一つの「大きな物語」を多角的に楽しむことができるのです。


3. 『ジョジョの奇妙な冒険』 × 『ドグラ・マグラ』(夢野久作)

📖 リンクのポイント:狂気とループする物語の影響

荒木飛呂彦の『ジョジョの奇妙な冒険』には、夢野久作の『ドグラ・マグラ』の影響があると言われています。

『ドグラ・マグラ』は、日本の近代文学の中でも屈指の**「読むと狂う」と言われる奇書**です。精神病院で目覚めた主人公が、自分が何者なのかも分からないまま、次々と狂気的な出来事に巻き込まれていきます。

『ジョジョ』の「第6部 ストーンオーシャン」では、時間がループし、世界が一巡するという展開が描かれますが、これは『ドグラ・マグラ』の**「物語の円環構造」**と似ています。

📌 共通点

  • 「自分が何者かわからない」状況
  • 時間や現実が崩壊していく演出
  • ループする物語構造

もし『ジョジョ』の「一巡する世界観」に興味があるなら、『ドグラ・マグラ』を読んでみるのも面白いかもしれません。


4. 『シャーロック・ホームズ』(アーサー・コナン・ドイル) × 『ルパン対ホームズ』(モーリス・ルブラン)

📖 リンクのポイント:名探偵と怪盗が“クロスオーバー”する!

世界的に有名な探偵小説『シャーロック・ホームズ』と、怪盗アルセーヌ・ルパンが登場する『怪盗ルパン』シリーズ。この二つが実はリンクしていることを知っていますか?

モーリス・ルブランが書いた『ルパン対ホームズ』では、なんと名探偵ホームズと怪盗ルパンが直接対決する物語が描かれます。しかし、アーサー・コナン・ドイル(ホームズの原作者)がこの作品に抗議し、後の版では「ホームズ」が「エルロック・ショルメ」という名前に変更されました。

📌 共通点

  • 名探偵と怪盗の対決という夢のような展開
  • ホームズがルパンの敵役として登場
  • 原作者の抗議によって名前が変更されるというエピソードも面白い

名作同士がリンクすることで、読者は「もしホームズとルパンが戦ったら?」という夢のような設定を楽しむことができるのです。


まとめ:リンクする小説を読むと、物語の広がりが楽しめる!

小説同士がつながる例

  1. 『1Q84』 × 『1984』(監視社会と異世界のテーマ)
  2. 「螺旋プロジェクト」(伊坂幸太郎 × 朝井リョウ)(同じ世界線を異なる視点で描く)
  3. 『ジョジョの奇妙な冒険』 × 『ドグラ・マグラ』(狂気とループする物語の影響)
  4. 『シャーロック・ホームズ』 × 『ルパン対ホームズ』(名探偵と怪盗のクロスオーバー)

小説の世界は、一つだけで完結するものではありません。他の作品とのつながりを見つけることで、より深く楽しめるのです!

ぜひ、これらの「リンクする小説」を読んで、新しい発見をしてみてください📖✨

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